咲くは江戸にもその素質/ 沙嶋カタナ
タイトルのとおり舞台は江戸時代なのですが、ボーイズラブ、いわゆるBLと呼ばれる男同士の恋愛を楽しむという当時は概念すら存在していなかったであろう趣味に目覚めてしまった女の子のお話です。
なにが面白いかって、江戸時代にBLという設定はぶっとんでいても、そこで描かれる主人公の『周りには理解されないかもしれないけど自分はたまらなく好き』という純粋な気持ちは万人に共通するところなんですよね。
かくゆう僕も最近、『好きな女性が他の男のものになってしまうことで得られる嫉妬心と絶望感、そしてそれらを超える異様な興奮(いわゆるネトラレとよばれる性癖です)』が快感に変わっていく自分の感情に対してとまどいを隠せていないので、なんとなく気持ちが理解できるんですよね。やっぱりBLはよくわからんけど。
そしてそんな時代と相容れない趣向はひっそりと自分の胸だけに秘めていく・・・・・・のではなく、ちゃくちゃくとまわりに啓蒙して、その“素質”がある仲間を増やしていくたくましさなんかも素晴らしいのです。
自分が周囲の常識と外れてしまっていることは自覚しているので、一時は改めようとするのですが、
もう完全に手遅れなんですよね。
(これぜったい作者も筋金入りだろ)と思っていたら、やっぱりでした。
実体験が元になっているみたいですね。
―――では、『咲く江戸』を描こうと思われたきっかけは何でしたか?
沙嶋さん: 普段、BLにまったく興味がない友達が、男性同士の恋愛を描いた
ドラマなどを見ていたときに「良い反応をするな」と思うことがありました。
また、私の母も、その手の映画を見て「よくわからないけどゾクッとした」と話していたことがあります。
本人達には言えませんでしたが、「それって萌えの感情じゃないの?」と思い、
「こういう感情は、特別なものではなく誰もがもっているものなんだ。
それならば、萌えを感じる人はどの時代にも実はいたのではないか」と気づいたことが、
作品誕生のきっかけとなりました。
そんな好きなものは好きなんじゃい!しかたなかろうが!という想いがつまった本作を、生温かく見守っていきたい。そして「BLが趣味!」というひとも、自分みたいに「よくわからん」というひとにも、ぜひ一読していただきたいです。
単行本が発売されているけれど、なんと太っ腹にも現在全話が無料公開されています。アプリでも読めるよ!
咲くは江戸にもその素質 1 (B’s-LOG COMICS)
- 作者: 沙嶋カタナ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2015/02/14
- メディア: コミック
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おわり